こんにちは、スタッフSSです。
突然ですが、日米貿易摩擦。由々しき問題でありますな。みんカラとしても、クルマに関わる以上、この問題を避けて通れない気もしますが、今日のところは巧みに避けて通るとして、みんカラらしく、船+クルマという、乗り物大好きな皆様に楽しんでいただけるレポートをお伝えしたいと思います(`・ω・´)キリッ
というわけで、今回はこちら!
積載台数4,900台の自動車専用船で繰り広げられる職人技!
スバルの船積み見学会に行ってきました!
最初にお断りしておきますが、今回写真も多くて、長いですよ(爆)
今回はどうやってスバル車が北米に向けて輸出されているのか見学できる、メディア向けの
テックツアー「東扇島物流センター・船積見学会」 ということで、早起き直行で、JR川崎駅から市バスで約40分(トォイヨー)かけて、やっとのことでバス停を降りると。。。
到着しました!こちらが神奈川県川崎市にある
東扇島物流センター でございます!!こちらからスバルはじめ、複数の国内メーカーの自動車が輸出されていくわけですね。
おぉ、いきなりスバル車が、どーんと並んでいます。
某スクープ雑誌的な感じで金網ごしに撮影してみたり。こちらは、新型フォレスターですね!
というわけで、さっそくブリーフィングを受けて、ヘルメットと反射ベストを着た大人たちが、わくわくそわそわ修学旅行気分で大型バスで現場に向かいます。昔のことすぎて、当時の気分は思い出せませんが。
到着しました。
船デッカイヨー!! というか、船というより、普通に建物に見えます。こちらの船は、種別としては、PCC (Pure Car Carrier)と略される「自動車専用船」で、その名の通り、自動車を輸送しやすいように設えられている船になります。船名は「HERCULES LEADER」=“ハーキュレス・リーダー”と読むそうで、ギリシャ神話の英雄、ヘラクレスにちなんで名付けられたそうですよ。
船体に「NYK」とありますが、こちらは日本郵船(株)の船になるそうで、建造は2011年。船はだいたい30年は使うそうなので、まだまた若手の働き盛りといったところでしょうか。若さってすばらしい。
船内は12層に分かれていて、いわば
巨大な12階建てのスロープ式立体駐車場 と考えると、とてもわかりやすいです。
ちなみに船体サイズは、全長199.94m、全幅32.26m、全高44.98mで、積載台数は乗用車で4,900台(!)ほどだそうです。アウトレットセンターの駐車台数で言えば、軽井沢のプリンスショッピングプラザが約3,500台、関西だとりんくうプレミアム・アウトレットが約2,900台だそうで、まぁ、ご近所の大きいショッピングセンターの駐車場丸ごとと想像すれば、当たらずとも遠からずといったイメージでしょうか。
さて、では、さっそく船内に潜入してみましょう!
見学ルートとしては、まずはデッキと呼ばれる屋上というか甲板に出まして、操舵室、居住区、機関室を見学して、最後に船積みのプロフェッショナルによる職人技拝見という順番になります。
人が一人がやっと通れる急勾配の鉄階段を上って、5階から13階にあたるデッキに向かいます。ふぅふぅふぅ、、、大人たちの荒い息遣いが船内にこだまします。
このまま2、3人遭難するんじゃないかしらと思った頃、
高山病になりかけましたが、なんとか無酸素登頂を成し遂げました、ってか、おぉお、広いっ!!
そして高い!
ひゃあ!フォレスターがミニカーみたいに並んで!いやぁ、ちょっとしたラピュタのムスカ気分です。
ちなみにデッキにあった、このマリングレーな筒状のものは、強力な換気装置だそうで、自走で船積みする自動車専用船において、排気ガスがこもらないように必須の設備だそうです。なるほど。
デッキを進んでいくとバスケットゴールが。海岸に流れ着いたバスケットボールがあったら、自動車専用船の船員さんのシュートミスが原因かもしれません。
お世話になりたくないけど、いざという時には他人を押しのけてもお世話になりたい救命艇。
で、こちらが操舵室ですね。
軽い気持ちで触っちゃいけない機器たちが並んでいますね。あぁ、触りたい!ボタン押したい!
面舵いっぱいしたい!取り舵いっぱいしたい!といっても、今はほぼ自動運転のようになっているそうで、24時間航行しているので、4時間当直を1日2回、3人で回していくそうです。
いかん、長くなりすぎてる。ちょっと先を急ぎましょう。次は居住区ですね。
船長室!ソファーもあって意外と広いです。この奥にベッドルームもあります。
談話室兼食堂。テーブルの上には、エスニックな調味料があります。船員さんはすべて海外の方で、いろんな国籍の方が約20数名で運航されているそうです。脇にはDVDが見られるテレビなどもありました。
キッチンですね。何より火事が怖いので、ガスではなくすべて電気調理器となっているそうです。
こちらは食料庫。肉と魚は冷凍で、野菜は冷蔵だそうです。寄港地で補給できないケースもあるので量は多めに備蓄しているそうです。
さて、居住区の後は、また狭い階段を降りて、機関室に向かいます。
こちらが機関制御室です。「波動砲、エネルギー充填開始!」とか言ってるんでしょうね、恐らくそうでしょう。
で、こちらが動力部、メインエンジンです。スペックは、直列8気筒、約65万cc(2,000ccエンジン×325台分!)、ボア600mm、ピストンストローク2,300mm、最大出力21,128ps。変速機というのはなくて、スクリュー直結だそうで、航行速度は最高約20ノットで、時速だと37km/hくらいだそうです。クルマで言うと、超ロングストロークのトルク型エンジンと言いましょうか。ひぇぇ。。。
でこれがターボチャージャー。直径1.5メートルくらいありますかね。燃料は重油で、燃費は1Lで10m進むくらい。1日50tほど消費するとか。
さて、お待たせしました。では、メインイベントの積み込み風景にまいりましょう!
この車両を積み込んでいく作業は、
「積み付け」 と呼ばれていて、
「ギャング」と呼ばれる積み付けの専門集団 が行います。ギャングと言うと物騒なイメージですが、元々は「集団」と言った意味から、主に荷役作業員のチームを指すようになったとか。
では、順を追ってその職人技をお見せしますね!
まず、車両置き場のヤードから、船内の所定のデッキ(階層)までの移送は、
「移送ドライバー」 の皆さんが担当します。
積み込みはスターンランプと言われる船尾のスロープから行われました。ちなみに、ヤードに置いている間、潮をかぶるので、洗車してから積み込むそうですよ。
ランプの斜度は5~7度で、80tまで耐えられるそうです。
スターンランプを登って、車両がやってきました!船内で車両移動を整理するのは、
「シグナルマン」 の皆さんの役目となります。
駐車する際に邪魔にならないよう、サイドミラーが畳まれたままなのに注目です。あと、北米向け輸出車両ですから、左ハンドルになりますね。
さて、所定のデッキに移送ドライバーが運んだ車両は、駐車を担当する
「本付けドライバー」 に引き継がれます。では、ここからは、パラパラ漫画風に。。。
青い服の誘導指示の笛とジェスチャーに従い、バックで進んでいきます。サイドミラーが畳まれているのに、寸分の迷いもありません。
誘導員が横に逸れて、所定位置で停止。
前後のバンパー~バンパー間は30cm、左右のドア~ドア間は10cm と決められています。ひぃぃ。
おもむろに誘導員が左ドアに近寄り。。
ドアを開けると、本付けドライバーが素早く降車!ササッ!!
この身のこなし、おぬし只者ではないな(確かに只者じゃありません)。
キビキビと次の車両に向かいます。
そして、間髪いれずに次の車両のバックが開始されます。ちなみに、当然ですが移送、駐車の際は、安全装置のアイサイトはOFFにしてあるそうですよ。
所定位置に駐車されると、
「ラッシャー」 と呼ばれる皆さんが、車両をクラスパーという紐と金具の固定具で、床の丸い穴に固縛していきます。これをラッシングと言います。
こんな感じですね。
左右のドア~ドア間10cm。まさに職人技。本付けドライバーだけでなく、「ギャング」チームの一糸乱れぬ連携こそが職人技というわけですね。複数チームで、1日に数千台という車両を移送して、日本国内のギャングの事故率は、100万台に1台程度だそうで、これは
航空機事故より低い確率 だそうです!
ちなみに、車両の配置は、寄港地ごとに降ろしやすいように配置されています。これは、「カウンタークロックワイズ」方式といって、荷揚げする際に、左ハンドル車輌が降ろしやすいように、出口のスロープに向けて反時計周りで出て行けるように積み付けていくそうです。なるほどぉ。いや、ためになりました。
こちらの「HERCULES LEADER」号は、川崎港を出た後は、茨木の常陸那珂港に寄って、その後太平洋を横断。パナマ運河を通って北米東海岸に抜けて、ブランズウィック、ボルチモア、デイビスビル、ボストンと寄港していくそうです。お気をつけて、いってらっしゃいませ!
というわけで、長々とお送りしていきた、スバル船積み見学会の模様、いかがだったでしょうか。船舶会社などが船の内部や積み付けなどの一般公開を行っているケースもあるそうなので、興味のある方は、検索してみてくださいね!
最後にオマケで積み付けの動画を。
■【スバル船積み見学会】その1〜スターンランプを駆け上がる
VIDEO
■【スバル船積み見学会】その2〜所定のデッキへ向かう
VIDEO
■【スバル船積み見学会】その3〜本付けドライバーの妙技
VIDEO
では、また。